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卒業生の声

卒業生の声

40代男:一橋大学イノベーション研究センター専任講師

地元公立小(八幡小)→東大寺学園中高→大阪大学

創造性が問われる時代に必要な力をつける

 私は河本教室の卒業生です。また、非常勤の講師として後輩の指導もしていました。東大寺学園に進学し、大阪大学の法学部を卒業したあと、政策シンクタンクで働き、東京大学で博士号をとり、今は大学で教員をしています。私の専門はイノベーション(社会的な価値を生み出す創造的な成果)をどうすれば生み出しやすくなるのかです。例えば、グーグルの新しいサービスやソニーの新製品、任天堂のゲームのように、社会に大きな驚きと喜びを与えるものが、どうやったら生み出しやすくなるのか。そんなことを研究しています。

 グーグルで検索すれば情報が手に入る時代になり、さらには、人工知能が調べてくれる時代になりました。これからの時代には知識を持っているだけではビジネスの現場では勝負になりません。人工知能にはできない、創造的な思考力がますます重要になっています。

 では、そんな時代には知識を身につけることは意味がないのでしょうか。実はそんなことはありません。創造的な思考力に必要なのは、知識と、それを活かす論理的な思考力、それから自主性です。イノベーションのほとんどは、今までにあった知識を、ちょっとだけ変わった形で結びつけたことで産まれています。

 河本教室での学びは今から振り返れば、そんな創造的な思考力の基礎を養うことにつながっていました。知識も論理的な思考力も基礎を繰り返し訓練してくれましたし、しかも、そこから先は自主性に委ねられていました。自主性が与えられると、何をしていいかわからないということもあるでしょう。ですが2020年代ですら、その自主性を生かしていくことが必須の技能になっています。まして30年はどうでしょうか。

 人工知能に勝てる力を是非身につけた後輩が育っていくことを、一人の先輩として願っています。